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Japanese Living Bible Old Testament Job
イスラエルの文学
ヨブ記からソロモンの愛の歌までをまとめて、文学書、あるいは知恵文学と呼んでいます。
預言書はイスラエル民族の没落期に属しますが、文学書のほとんどは、イスラエルの歴史
の黄金時代(紀元前千年ごろ)に属しています。特に詩篇は、賛美と告白の文学であり、
根底には信仰と服従のテーマが流れ、神様の前にあるイスラエルの心が、つぶさに記され
ています。イスラエル独特の知恵は、神様から出ており、生きて働かれる神様をまず信じ、
たいせつにすることによって与えられるものだ、と説かれています。
ヨブ記
本書は、人間がもつ最も深遠な問題に触れています。 もし、罪や苦しみに対して何らか
の力を発揮できる神様が存在するなら、どうして、まだ罪や苦しみがこの世にあるのか、
という問題です。 本書の初めは、苦しんでいるヨブが三人の友だちと討論するところで
す。 エリファズ、ビルダデ、ツォファルはそれぞれ、ヨブの不幸を異なった方法で説明
しようとします。 四番目の人物エリフは、状況の要約をし、かつ、ヨブがなぜ苦しみを
受けているかについて、別の解釈をします。 最後に、神様ご自身がヨブに語りかけ、ヨ
ブは人生の諸問題の解答を得ることより、むしろ神様ご自身を必要とすることを悟ります。
こうしてヨブは、以前にもましてすばらしい境遇に戻されたのです。
1 ウツの国にヨブという人が住んでいました。 この人は人格者で、神様を敬い、悪か
ら遠ざかっていました。 23子宝に恵まれ、息子が七人、娘が三人もいました。 それ
に、羊七千頭、らくだ三千頭、五百くびきの牛、雌ろば五百頭がいる上に、大ぜいの召使
をかかえる億万長者でした。 名実ともに、その地方きっての大牧場主だったのです。
4 毎年、ヨブの息子たちは、誕生日ごとに、自宅へ兄弟姉妹を招いて祝賀会を開き、飲
み食いして陽気にはしゃぐことにしていました。 5時には数日に及ぶこの誕生パーティ
ーが終わると、ヨブは決まって子供たちを呼び寄せ、彼らの身をきよめる儀式を行ないま
した。 彼は朝早く起き、子供たち一人一人のために、完全に焼き尽くすいけにえをささ
げるのでした。 彼は口ぐせのように、「息子たちが、もしかしたら罪を犯し、心の中で神
様に背いたかもしれない」と言っていたからです。 この儀式はヨブの年中行事の一つに
なっていました。
6 ある日、御使いたちが神様の前に出た時のことです。 その中に、告発者のサタンも
いました。
7 神様はサタンに問いただしました。 「おまえはどこから来たのか。」
「地球のパトロールから帰って来たところでさ。」
8 「わたしのしもべヨブを知っているか。 彼は世界でいちばんの人格者だ。 神は敬
うし、一点の非の打ちどころもない。」
9 「あたり前ですよ。 あなたが特別ひいきにしているんだから。 10あなたはいつ
も、彼とその家庭、持ち物を守っているじゃないですか。 それに、彼のすることは何で
も栄えるように目をかけている。 これじゃあ、金がうなるほどあっても不思議はない。
あなたを拝むふりをして当然ですよ。 11試しに、やっこさんの財産を取り上げてみる
んですな。 きっとあなたをのろいますぜ。」
1213「彼の財産のことは、おまえの好きなようにしてよい。 ただし、彼の体に触れ
てはならんぞ。」
こうして、サタンは出て行きました。 それからしばらくして、ヨブの息子、娘たちが長
兄の家で祝宴を張っている時、悲劇の幕が切って落とされました。
1415使者がヨブの家に飛んで来て、悲報を伝えたのです。 「た、たいへんです。 牛
が畑を耕し、そばでろばが草を食べているところへ、いきなりシェバ人が襲いかかりまし
た。 家畜はさらわれ、作男たちは皆殺しです。 どうにか助かったのは私ひとりです。」
16 彼の話がまだ終わらないうちに、別の使いが、いっそう悪い知らせを伝えました。
「恐ろしいことです。 神の火が天から下って、羊と牧童を残らず焼き殺しました。 難
を免れたのは私だけです。」
17 この男が報告し終えないうちに、もう一人の使者が息せき切って駆け込んで来まし
た。 「だんな様ーっ。 三組のカルデヤ人の野盗がらくだを奪い、召使たちを殺したの
です。 私ひとりが、なんとか逃げて来ました。」
18 彼がなおも話している間に、さらにもう一人が駆けつけました。 「お子さんたち
が大へんです。 皆さん、ご長男の家で宴会を開いておいででした。 19すると突然、
砂漠の方から大風が吹きつけて、家を直撃したのです。 それで屋根が落ち、その下敷き
になって、皆さんお亡くなりに……。 私だけが、どうにか命拾いをしました。」
20 この時ヨブは立ち上がり、悲しみのあまり上着を引き裂き、地にひれ伏して、 2
1神様に言いました。 「生まれた時、私は裸でした。 死ぬ時も、何一つ持って行けま
せん。 私の持ち物は全部、神様が下さったものです。 ですから、神様はそれを取り上
げる権利もお持ちです。 いつでも、どんな時でも、神様の御名がたたえられますように。」
22 このような事態になっても、ヨブは罪を犯したり、神様を悪しざまに言ったりしま
せんでした。
1 この事があってから、御使いたちが再び神様の前に出た時、サタンも同席していまし
た。
2 神様はサタンに問いただしました。 「おまえはどこから来たのか。」
「地球のパトロールから帰って来たところでさ。」
3 「そうか。 で、おまえは、わたしのしもべヨブの態度を見たか。 彼は世界でいち
ばんの人格者だ。 神は敬うし、いっさいの悪から遠ざかっている。 おまえは、わたし
をくどいて、理由もないのに彼に危害を加えた。 ところがどうだ、あの信仰深さは。 こ
れでもまだ、彼をけなすつもりか。」
45「いのちが助かるためなら、人はどんなことでもしますよ。 今度はやっこさんを病
気にしてみればいい。 きっと、面と向かってあなたをのろいますぜ。」
6「何とでも気のすむようにするがいい。 ただし、彼のいのちだけは取らぬようにな。」
7 こうして神様の前から引き下がったサタンは、ヨブを、頭のてっぺんから足の裏まで
悪性のはれものだらけにし、責め立てました。8ヨブは土器のかけらで体中をかき、灰の
上に座り込んだのです。
9 それを見て、妻がそそのかしました。 「こんなひどい仕打ちに会っても、まだ神様
をたいせつにするの。 いっそ、神様をのろって死んだらどう?……」
10 「まるで、神様を知らない外国の女のような口をきくんだな。神様から祝福ばかり
いただいて、災いはお断わりという法があるかい。」 こうしてヨブは、このようになって
もなお、神様を冒涜するようなことは、いっさい口にしませんでした。
11 さて、ヨブの身に災難が降りかかったことを知った友だちが三人、お互いにしめし
合わせ、彼を慰め励ましてやろうと、はるばる訪ねて来ました。 この三人は、テマン人
エリファズ、シュアハ人ビルダデ、ナアマ人ツォファルです。 12ところが彼らは、ヨ
ブを見て、ただただ、びっくりするばかりでした。 顔形はすっかり変わり、だれの顔か
見分けもつかないほどです。 あまりの痛ましさに、声をあげて泣き、めいめい上着を裂
き、ちりを空中にまき散らし、頭に土をかぶって悲しみました。 13それから、ヨブと
ともに七日七夜、地に座っていましたが、だれも唖のように黙ったままでした。 彼の苦
しみようがあまりひどいので、うっかり話しかける気にもならなかったのです。
1 ついにヨブが口を開き、自分の生まれた日をのろいました。
23「ああ、わしはなぜ生まれたのか! こんなことなら、いっそ生まれないほうがよか
った! 4誕生日なんか、なくなってしまえっ! 神にさえ見捨てられ、永遠の暗やみに
包まれてしまえっ! 56そうだ、暗やみがその日を引き取り、黒雲がおおい隠せ。 そ
の日がカレンダーから消され、ほかの月日とともに指折り数えられないようになれ。 7
その夜を吹きさらしにし、喜びを追い出せ。 8のろいの名人よ、その日をのろってくれ。
9その夜は、星も出るな。 どんなに光を待ちあぐねても夜は明けず、朝がくるな。 1
0こんな災難に会うため、わざわざ生まれて来たわしのために。
11 ああ、なぜ、生まれてすぐ死ななかったのか。 12なぜ、産婆はわしを生かして
おき、乳房をふくませて養い育てたのか。 13生まれてすぐ死んでいたら、今ごろ安ら
かに眠っていただろうに。 1415飛ぶ鳥を落とす勢いの総理大臣や王たち、また城の
中に財宝を積み上げた羽振りのいい領主たちと、いっしょになっていただろうに。 16
呼吸もせず、陽の光を見ることもない、死産だったらよかったのだ。17死んでしまえば、
悪者も人に迷惑をかけず、疲れきった者も憩う。18囚人でさえ、彼らをのろう残忍な看
守から解放される。 19死んでしまえば、金持ちも貧乏人もない。 奴隷でさえ、全く
自由の身となる。
2021なぜ、悲惨な境遇に泣く者に、光といのちが与えられるのか。彼らは死にたくて
も死ねない。 人が食べ物や金のことで目の色を変えるように、ひたすら死にたがる。 2
2思いどおり死ねたら、どんなにほっとするだろう。 23神の与えるものが無益と失意
の人生だけだとしたら、なぜ、人を生まれさせるのだろう。 24出るのはため息ばかり
で、食事ものどを通らない。 うめき声は水のように止めどなくあふれる。 25恐れて
いたことが、とうとう起こったのだ。 26ぬくぬくと遊び暮らしていたわけでもないの
に、災いが容赦なく降りかかったのだ。」
1 テマン人エリファズからヨブへの答え。
2 「ひと言いわせてくれ。 もう黙ってはおれん。 34以前あんたは、悩んでいる人
をつかまえては、神様を信頼しろと口ぐせのように言ってたな。 そう言って、弱ってい
る人、倒れそうになった人、立つ気力もなくして地面に座り込む人、自暴自棄に陥った人
を元気づけてきた。 5ところがどうだ。 いざ自分がその身になってみると、すっかり
意気阻喪し、青菜に塩じゃないか。
6 こんな時こそ、神様を信頼するはずじゃなかったのか。 正しい人に神様は目をかけ
てくださることが、信じられないのか。 78考えてもみろ。 心底から正しくて罪のな
い人が罰せられるなんてことを、一度でも聞いたことがあるか。 罪と争いの種をまく者
が悩みを刈り取るとは、経験の教えるところだ。 9そのような者は、神様に握りつぶさ
れて死ぬ。 10若いライオンのように居丈高にしていても、押しつぶされて滅びるのが
おちだ。 11いつかは、役立たずの老いぼれライオンのように飢え、子供たちも散り散
りになる。
12 耳もとのささやきのようにこっそりと、この真理がわしに伝えられた。 13あれ
は、人が寝静まった夜中だった。 わしは幻を見たのだ。 14急にわしは恐ろしくなり、
身の毛のよだつ思いに全身がわなないた。 15一つの霊が前を通り過ぎる時、髪の毛は
逆立った。 16といっても、霊の気配を感じただけで、姿を見たわけじゃないがね。す
ると、気味悪いほどしーんと静まりかえった中で、どこからともなく、こう言う声が聞こ
えてきた。
17 『人は神より正しくありえようか。 人は創造者よりきよくありうるだろうか。』
1819御使いさえあやまちを犯し、神様に信頼されないとしたら、ちりから造られた人
はなおさらのことだ。 人はしみのように、簡単につぶされて死ぬ。 20朝には生きて
いても、夕方には冷たいむくろとなり、だれからも顧みられないまま永久に葬られる。 2
1か細いいのちの火は吹き消され、なすすべもなく死ぬだけだ。
1 助けを呼び求めても、だれも答えてくれない。 神々によりすがっても、救ってもら
えない。 2彼らは怒り狂い、のたうち回って息絶える。 3神に背く者は、しばらくは
栄えるように見えても、思いもよらない災いにみまわれる。 4彼らの子供たちは、だれ
にもかばってもらえず、簡単にだまされる。 5せっかくあげた収穫も人手に渡り、その
富は、ほかの多くの人の渇きをいやす。 6罪の種をまいた者には、罰として不幸が襲う。
7火種から勢いよく炎が吹き上げるように、人は罪と不幸に向かってまっしぐらに進む。
8 だから、あんたに忠告したい。 神様に罪を告白しなさい。 9神様は、目をみはる
ような奇蹟を数限りなくなさるからだ。 10神様は地に雨を降らせて田畑をうるおし、
11貧しい者と謙そんな者を富ませ、苦しむ者を安全な場所へ連れて行く。
12 神様は、ずる賢い者の計画をくつがえす。 13彼らは知恵をこらして計画を練り、
そのわなに自分でかかる。 14彼らは夜だけでなく、昼日中でも、盲人のように手探り
で歩く。
15 神様は、このような横暴な連中から、身寄りのない者や貧しい者を救う。 16こ
うして、貧しい者はついに希望を見いだし、悪者の牙はへし折られる。
17 神様に誤りを正してもらえる人は、なんと幸せなことか。 神様の懲らしめを、な
いがしろにしてはいけない。 自分で罪を犯し、招いた結果なのだから。 18神様は傷
つけても包帯を巻き、治してくださる。 19何度でも救い出してくださる。 だから、
災いがあんたに寄りつく暇もない。
20 ききんの時には死から、戦いの時には剣から守られる。
21 人の中傷も苦にならず、将来の心配もなくなる。
22 あんたは戦いとききんをあざ笑い、野獣に襲われることもない。 23野の石と、
どう猛な野獣は、あんたと平和協定を結ぶからだ。
24 家を留守にしても、何の心配もない。 倉庫には、だれも指一本ふれないからだ。
25 あんたの息子たちは、なくてはならぬ人物となり、子孫は草のようにはびこる。 2
6麦は、収穫の時まではどんなことがあっても刈り取られない。 そのように、あんたも
幸せな一生を送り、長寿を全うする。 27このことが嘘偽りでないことを、わしは経験
から割り出した。 あんたのためを思えばこそ、忠告するんだ。 わしの助言を聞いてく
れ。」
1 ヨブの返事。
2 「ああ、この悲しみと苦しさが、秤りにかけられたらなあ。 3まるで海辺の砂を千
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